三菱のAYCを幾分か詳しく説明する

最近ふと、三菱のAYCがどういうシステム・機構になっているのか気になってネットでいろいろ調べてみた。しかし、どこのページでも甘噛み程度の内容しか記載されておらず、残念ながら理解を深めることができなかった。そこで、知り合いの詳しいおじさんに時間を割いてもらって非常に詳しく解説してもらったところ、そこそこ詳しくなったので、学んだことを文章化してみようと思う。

AYCの定義の確認

三菱自動車

まずはAYCの定義から。AYCとはアクティブ・ヨー・コントロール(Active )のこと。定義に関してはAYCを生み出した三菱自動車の解説を引用することとする。

ハンドル角、ヨーレイト、駆動トルク、ブレーキ圧、車輪速などの情報からドライバーの操作や車両挙動を正確に判断し、ドライバー操作に忠実な車両挙動となるよう左右輪間の駆動/制動力を制御するシステムです。車両に働くヨーモーメントを最適に制御することができるため、高い旋回性能と走行安定性を実現します。*1

定義は上記の通り。少し情報を付け足してまとめると、後輪の左右輪間の駆動と制動力を電子制御システムでコントロールしてヨーモーメントを最適化することがその役割になる。

しかし、この説明だと、少し具体性に欠ける。以下では、何がどのように作動して、具体的に駆動や制動力をどのようにコントロールするのかを、まとめる。

コーナー外側のタイヤを内側のタイヤより速く回転させる

AYCが機能するとどういう動きになるのかについて端的に説明すると、コーナー外側のタイヤを内側のタイヤより速く回転させる、ということになる。

なぜ外側のタイヤを内側のタイヤより速く回転させるかというと、そうした方がコーナーを早く脱出することができるから。

例えば右コーナーを例にして説明すると、左側のタイヤの方が右側のタイヤよりも距離を多く走ることとなり、反対に右側のタイヤは左側のタイヤよりも短い距離を入ることとなる。

このことから、左側のタイヤが右側のタイヤよりも速く回転すれば、左リアタイヤが巻き込むように駆動して旋回速度を高めて、結果的にコーナーリング速度を高くすることができる。

コーナー外側の後輪が内側の後輪よりも速く回転して旋回速度を高める、とりあえずこれだけ覚えておけばAYCの説明はOK 、だと思う。

回転差をどのように生み出しているのか

AYCが機能すると左右リアタイヤの回転数に差が生まれることはわかったが、構造的にどのようなプロセスを経てAYCが機能しているのかも気になるところ。ここに関する説明はほとんどのメディアでされていないので、取り上げる価値があると思う。

ピニオンギアやサイドギアで構成されるデフケース、そのデフケースが含まれているデファレンシャルキャリアAssy内部の右側部分に、油圧システム、2種類の大きさの異なるフリーのギア、2つのクラッチ、シャフトに取り付けられた3つのギアが用意されている。

冒頭の定義で説明した各種情報に応じて、油圧システムが2つのうち1つのクラッチに働いて油圧で押し付ける。クラッチはドライブシャフトともに回転しているので、そのクラッチがフリーのギアに押し付けられると、空転していただけのギアが駆動とともに回転するようになり、そのギアのギア比が駆動に影響を与えるようになる。

上述した2つのギア(フリーのギア)というのは、増速ギアと減速ギアの2つのことで、右側を速く回転させたいのかそれとも遅く回転させたいのかによって、ギアが選択される。それゆえ、2つの異なるギアが用意されている。

こうして、クラッチによってドライブシャフトの回転と繋がったフリーのギアは、別のシャフトから出ているギアを通じて駆動全体に影響を与えることとなる。右側の駆動軸の回転数が決まれば、反対側の駆動軸の回転は決定するので、左右コーナーに応じた駆動軸の回転が与えられる、つまりAYCが機能した状態の完成。

まとめると、センサーから得た情報をもとに右リア駆動軸を増速ギアまたは減速ギアで強制的に回転を制御する、という感じ。

結構強引なシステム

よくよく考えてみると、駆動軸(ドライブシャフト)が回転しているところに、クラッチを用いているとはいえギア比の異なるギアを繋いで回転の増減を強いることになるので、結構強引なシステムになっているなというのが、最終的に感じたことであった。

引用文献
*1  AYC :  https://www.mitsubishi-motors.com/jp/innovation/technology/library/ayc.html?intcid2=innovation-technology-library-ayc

 

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